瀕死状態のメルヘンさんに異変が起こる。
そう、いつだって主人公はピンチの時に覚醒するのだ。

俯いたままのメルヘンさんの肩が少し震えて、そこから薄紫色に光る煙のようなものが立ちこめる。

「ご隠居、いや、おじいさんよぉ…… 」

絞り出すようにして出した低い声は、震えていた。

背骨のあたりから、金色に輝く半裸の女神像がにょきにょきと生え、その金色の顔がご隠居に微笑む。

その、目もくらむ程の眩い光に

ご隠居は目を細めた。

これしきのこけおどしに屈してなるものかと精一杯の笑顔を返す。

すると女神像は粉々に崩れて、その破片はメルヘン侍の頭を守る兜となり、甲冑となった。

そして、

目の前に長い長い黄金の大剣が、ゆっくり降り落ちて


タタミの床へと、串カツがソースに浸かっていくようにして深く突き刺さっていった。