「エイジもお忙しいようで。何よりだね」

「それはどうも。ご機嫌は如何かな、お姫さま」

「店を辞める時にせめてあたしに一言でもあったら、こんなに機嫌悪くないかもね」


 取りつくしまもないミサトの言葉に、エイジはただただ苦笑するばかりだった。


「まァ、俺にも色々と野暮用があるんだよ」

「そうだね。今日は帰る」


 ミサトは立ち上がると、オフィスを出ていく。


「これまた史上最悪にご機嫌斜めだな」

「ま、タイミングが悪かったのよ、エイジ。今朝ね」


 ユイは、さっきミサトから聞いた話をした。

 一通り聞き終えて、エイジはタバコに火を点ける。


「そうか…ま、それも仕方ねェ話だぜ」

「何か心当たりでもあるの?」

「まァな…」


 煙を吐き出しながら、エイジは言った。