だが、ドアが開けっ放しのレンの部屋の中を何気なく覗いたが、当人の姿はなかった。


「あれ? レン、いないの?」


 カーテンを締め切っていて、部屋が薄暗かったからそう声をかけてみるが、やっぱり返事も気配もなかった。

 ミサトは首を傾げながらも、とりあえずバスルームに歩を進めようとして、ふと気付く。

 誰もいないはずの店内から、微かに人の気配を感じた。


「…レン? こんな時間に、何やって…」


 店に行こうとして、ミサトは何故か物陰に身を隠す。

 レンの向こう側にいるのは、レイだ。


(何で隠れなきゃならんのよ?)


 理不尽だとは思いながらも、ミサトは何故か見てはいけないものを見たような気がした。

 二人が何か真剣に話す姿を見ていたら、自分が入る隙はないような気がしたから。


「バカみたい」


 しばらく…といっても、ほんの何秒かその場でたたずんで、ミサトは思い直してシャワーを浴びることにした。