In the warm rain【Brack☆Jack3】

「例の一件が終わってから一年、俺たちは平穏な日々を送ってきた。だけどユイ、お前は」

「私も」


 エイジの言葉を、ユイは遮った。


「…私も、この一年、平穏な日々を送ってきたわ。たくさん笑って、誰に縛られることもなく」

「………」

「だから、あなた達にも、滞りなく日々を過ごしてほしい…ただ、それだけ」


 その“平穏な日々”は、実はユイの影ながらのガードによって守られていたのだ。

 うすうすは分かっていたが。


「…で、あなたは何をしていたの?」


 グラスをテーブルに置いて、ユイはエイジを真っすぐに見つめた。

 何もかもを見透かすような、透き通った瞳。


「なァに、そこらへんにいたチンピラに絡まれただけさ」

「何かわかった?」

「いいや。直接の関係はなんとも…」


 ユイの質問の意図は、分かっていた。