In the warm rain【Brack☆Jack3】

「店に新しい従業員が入ったらしいわね」

「新しい従業員?」

「えぇ。きっと、あなたの代わりね。料理人がいなくなったから」


 ユイはそう言って笑う。

 嫌味かよ、とエイジは膨れっ面をして見せた。


「彼女の素性は部下に調べさせてるわ。ま、一日もすれば報告があるでしょうけど」

「…相変わらず用意周到なことで」


 まるで、どっかのじいさんみてェだぜ、という言葉を、エイジは心の中にしまう。


「しかしよ、何もそこまでする必要はねェんじゃねェのか?」

「それもそうね。でも、あまりにもタイミングが良すぎるから…」

「いつもそうやって、俺たちを見ていてくれたのか?」


 真顔に戻り、エイジは聞いた。

 ユイは答えない。