In the warm rain【Brack☆Jack3】

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「簡単なモンだな、最近の就職事情は」


 運んだ酒のトレーを所定の位置に戻しながら、レンは言った。

 住む場所もないというレイに、レンが今まで使っていたアパートを貸すとまで言いだしたミサトに、少しばかり不満の表情を浮かべている。


「経費、削減するんじゃなかったのかよ?」

「さっきからうだうだやかましいわね、レン。彼女なら、今までの赤字もきっと取り戻してくれるよ」


 レイを雇ってから約一週間、メニューにある料理を難なくこなし、しかも話題も豊富ということで、レイ目当てにやってくる客は確実に増えていた。


「はじめから彼女にピンときてたんだよね。やっぱあたしって、見る目あるなァ」

「あぁそうかよ」


 相変わらず無愛想なレン。