In the warm rain【Brack☆Jack3】

「俺には分からないな…ミサト、何故だ?」


 シュキは言った。


「何故…」


 もう一度、シュキは問い掛ける。

 ハク老師は、何故この組織を終わらせたかったのか。

 愛していた筈の、この組織を。


「ミサト、お前も、この組織の中で生きてきたんじゃないか。このウー・イー・シーがあるからこそ、生きて来れたんじゃないのか?」

「…そうだね…」


 ミサトは答える。


「ここにいると、気持ちが良かったの」


 船は少しずつ、少しずつ傾いてきている。


「ここはあたしの存在を認めてくれる、唯一の場所だった…言われた事をちゃんとやれば、皆が誉めてくれる…あたしの帰って来る場所は、ここにしかなかった」


 エイジは、ミサトの言葉を黙って聞いている。


「でも今は、帰る場所を見つけたの」


 その時、レンとユイが操舵室に姿を表した。