In the warm rain【Brack☆Jack3】

「二人の秘密に、乾杯」

「…あなたって人は…」


 苦笑しながらも、ユイはグラスを合わせる。


「だがよ…」


 まるで海か空のような真っ青な色をしたカクテルを一口飲み、エイジは眉をしかめた。


「大人しく、このままずっと放っておいてくれないモンかね…」

「――そうね…」


 ユイも、少し悲しそうに目を伏せた。


「私達は、もともとが常識から逸脱した世界に生きているんですもの…今更」


 まだ何かを言おうとして、ユイは口をつぐんだ。


「今更、平和でまっとうな生活を送れるワケねェ、か」


 その言葉を、エイジは代弁する。

 ユイは何も答えずに、またカクテルを煽る。


「なぁに、気にすることはねェと思うぜ。どこかの姫さまなんて、卵の割り方も知らねェで今まで生きてきたんだからさ」

「何、それ…?」

「これが現実」


 エイジは軽くウインクして、席を立つ。