In the warm rain【Brack☆Jack3】

「頼むよ…最後まで…」


 ミサトは自分の身体にそう言い聞かせる。

 細くて狭い階段を登り、すぐさま銃を発砲する。

 その弾丸は正確に、発砲されたのと同じ数の敵を倒して行った。

 だが、敵の撃った弾丸も、ミサトの左腕と脇腹に命中した。

 歯を食い縛り、シャツの袖で目に入る血を拭う。

 視界が悪くなれば、狙いも正確なものではなくなる。

 耳をつんざくような発砲音の中、ミサトは辺りの光景を、まるでスローモーションのように感じていた。

 これは、命懸けの戦いの中によくある光景だった。

 周りの景色、そのもの全てが光がかったように、ゆっくりと動く。

 そんな中、ふと、ミサトは思いを巡らせた。


(…何故…)


 集中力は途切れる事はない。

 だが、心の底だけが、妙に冷静だった。


(…どうして…?)


 問いかける。