In the warm rain【Brack☆Jack3】

 身体が震え、一人では立っていられない程だった。

 エイジもそれに気付き、どうやってこの状況を切り抜けるかに考えを切り替える。


「最後の…チャンス…」


 シャンは小さく呟いた。

 埠頭の海は風もなく穏やかで、静かにうねる波は降りしきる雨を吸い込んでいく。

 ミサトが動けない以上、この状況から脱却するのは、極めて難しい。

 エイジとレン、ユイはミサトを守るようにして、周りの様子を伺っている。

 ――そして。

 シャンが合図をする。

 3人は、険しい表情で身構えた。

 だが、四人に向けられていた銃口は次々に下ろされる。


「…シャン…?」


 ミサトは、耳から手を離して顔を上げた。