In the warm rain【Brack☆Jack3】

「よくやったな」


 男の声が聞こえた。

 びくりと肩を震わせて、ミサトはその声の主を見る。

 ゆっくりとシャンの隣に歩を進めたその人物は、レンとエイジ、そしてミサトがよく知っている人物だった。


「よくやったな、シャン。君のおかげで、今回のターゲットをまとめて始末できる」


 ミサトの身体が震えた。

 幼い頃の記憶。


『よくやったな、ミサト』


 その言葉だけが、自分が生きていく理由。

 天涯孤独の自分。

 その淋しさを紛らわしてくれた、唯一の言葉。

 そうやって誉められれば、それだけで自分の存在価値が生まれる。


「…よぉ、もう焼き鳥屋はやめたのか?」


 エイジはミサトの肩に手を置いて、一歩前に出る。

 レンもミサトの前、その身を庇うような位置に立つ。

 そして 、少し様子がおかしいミサトの横顔をちらりと見つめた。