In the warm rain【Brack☆Jack3】

☆  ☆  ☆



「あぁ~あ、今日も雨…」


 窓際に頬杖をつき、ミサトはため息をついた。

 店に面した道路には人影はない。

 最も…それは雨のせいではなく、もともと人通りが少ないだけなのだが。

 この一年間、それなりに平和な時間を過ごしてきた。

 だから、勘が鈍ったのか。


「おい」


 少なからず驚いて、ミサトは声のした方を見上げた。


「レン…」

「最近、なんだかボケっとしてるよな、お前」


 そう言いながら、レンはミサトの向かい側に座る。


「エイジは?」


 そんなレンの言葉を軽く聞き流して、ミサトは聞いた。

 まだ店の始まる時間には早すぎるし、いつもなら二人で来るはずなのに。


「あいつは今日は休ませて欲しいんだとよ。だから今日は店はできねェな」

「ちょっと、どういう事よ?」

「野暮用だとよ」


 ぽりぽりと後ろ頭を掻きながら、レンは言った。