In the warm rain【Brack☆Jack3】

☆  ☆  ☆



 埠頭の空はどんよりと曇っていて、今にも雨が降りだしそうだった。

 ほんの一時間前、ちょっとした騒ぎがあったと聞き付けて、エイジとレンはこの港に駆け付けた。

 だが到着した時には、すでにどこにも人影はなく、もちろんミサトの姿もなかった。


「またハズレかよ」


 苛々と、エイジはタバコに火をつける。


「…ま、こんなもんだろ」


 いつもの調子で、レンは頭の後ろに両手を組んだ。


「心配じゃねぇのかよ」

「そんなことねェさ。テメェこそ珍しいじゃねェか、らしくなく熱くなってよ。この前のミサトとの口論といい」


 エイジは、レンの言葉を遮ってその胸元を掴んだ。


「それ以上言うんじゃねェ」


 レンはまっすぐに、その視線を見つめる。

 そして、軽くため息をついた。