「ブラ……してるよね?」
「は、え?……ぁ」
麗華の声が明らかに上ずる
「なに?シてたの?」
「ちっ……ちがうよ。」
「んじゃなんでホックとれた?
言ってみ?」
「走ってきたから……」
「そっか。つけたげるね。
って俺が言うと思ったの?」
安堵の表情は一瞬にして消える
「おこってるの?」
「ねぇ、麗華。シてたの?」
「あ、たし…したことな……い」
え??
俺の思考が一瞬にして止まる
したことない?っていった?
「いや、キスマークは?」
「あ、れは…途中までで……
最後まで……「
「なんで?」
純粋な疑問だった。
この年になってその先を躊躇う
理由があるとは思えない。
ましてや相手は先輩だ。
「できな……いの
途中で息切れしたり気絶…とか
気分も悪くなっちゃうから…」
「……むりしてたの?ずっと」
拳をぎゅっとにぎる。
爪が食い込んで痛みを感じた。
先輩はなぜ気づかなかった?
麗華は我慢してたのに。
そんな事したくなかったはずだ。
「先輩にいったの?」
「体調が悪いって…いった」
「無理しない……でね。
途中でやめて、もらいな?」
途切れ途切れにそう
言うしかなかった。
ただ俺は麗華が誰のものにも
なっていないことが嬉しかった。
まだ隣にいる気がして。
