「なに?だれ?」
「あ、いや…ごめんなさい!」
走り去ってしまった。
なんだ、あいつ。
しかも、笑ったっていった?
俺が笑わないことでしられてる
のは、噂できいてたけど。
「れん!!」
振り返らなくてもわかる、声で
振り返らなくてもわかる、足音で
「んだよ。れーか」
「まーたさぼって♪」
語尾に音符なんかつけて
俺の隣にぴったりくっついて座る
「なに?」
「……なんでもない」
なんでもないはずがない。
なんでもない麗華がさぼる
はずがない。
「きいて欲しくてきた?
慰めて欲しくてきた?」
「なぐさめて」
そっと抱きしめる。
ふわっと香るのは同じシャンプー
さらっと揺れるのは俺が
とかした髪。
「喧嘩?」
こく、と頷く麗華は多分泣いてる
許せるはずがない、
麗華を泣かせるくせに彼氏?
あいつと付き合いはじめてから
こんな麗華をよく見るようになった
俺の方が幸せにできる、
とはゆわないけど。
