「ふーん、この状況分かってるの?ちょっと痛い目見ないと分からない?」
手を振り払われた男の目つきが鋭いものに変わり、怒ったことが見て取れる。
殺気もかなり飛ばしてくるが、ちっとも怖くない。
「分かってるからこそ早く帰りたいんだけど」
私は早く帰ってもう1度寝たいんだよ。
「少し痛い目見てもらおうか」
気の抜けた返事で完全にキレた男は拳を振り上げる。
そんな緊迫した雰囲気の中でも、当たると痛いだろうなと他人事の様に考える。
あーあ、明日は顔に青痣か。
襲ってくるだろう痛みに耐えるように少し体に力を入れ、目を閉じた。
が、いつまで経っても痛みがこない。
何で…?
不思議に思い、ゆっくりと目を開ける。


