「そう言う事だから離して」
「………」
都合が悪くなったからって無視するなよ。
これじゃあ埒が明かない…。
助けを求めるように朔へと視線を向ける。
「蓮、離してあげな」
その言葉にピクッと反応し、何で肩を持つとでも言いたげな視線を送る。
「由美ちゃんが納得できる理由がないだろう」
「チッ」
朔のおかげで嫌々そうだけど、離してくれた。
「じゃ、バイバイ」
気が変わらないうちにさっさと帰っちゃお。
「またね」
「ゆみりーん、またね~」
「ふんっ」
機嫌がすこぶる悪い蓮に睨まれながら、『またね』なんて二度と会いたくないと思いドアを潜った。
私が去った屋上で、
「理由を作って引き込めばいいだろ」
と、朔が黒い笑顔で言っていたのを私が聞くことはなかった。


