「……じゃあお願い」
「ふふ、了解しましたお姫様」
嫌味かよ………嫌な雰囲気を持つ男だな。
こいつといるとため息が多くなる……ずっと一緒にいると禿げそう…。
「はぁ…私はもう行く」
「うん、怪我が結構酷いから気をつけてね」
「はいはい」
呆れながら、手を軽く上げて踵を返す。
「またね~」
男は最後までヘラヘラ笑って手を振っていた。
またなんて、もう会いたくない。
そう思いながら倉庫があると思われる方へと歩き出す。
「あれが《 黒猫 》か………早く迎えに行きたいな」
男が私の背中を見ながら呟いた言葉を拾う者はおらず、路地裏の闇へと吸い込まれていった。


