私が席に座ると來ちゃんは出て行ってしまい、特にやることもなかった私は窓の外をただ眺めていた。



「ねぇねぇ」



すると、隣の金髪男が妙に目を輝かせながら話しかけてきた。



「…何?」



「僕ね、赤神 陽(あかがみ よう)って言うんだ。よろしくね、ゆみりん」



………ゆみりん?



「よろしく。ねぇ、何でゆみりん?」



「ん?僕ね、気に入った女の子にはあだ名を付けるからゆみりんだよ。だめだった?」



あぁ、後ろにチワワが見える。



何故気に入られたのかは分からないが、陽の醸し出す可愛いオーラにどうでも良くなってしまった。



「ううん、全然いいよ。可愛いあだ名ありがとう」



「ふふっ、どういたしまして」



ただ信用は出来ないとつい少し前に会った朔がやっていたように笑顔を貼り付けた。



そして和やかな雰囲気を醸し出す陽と笑いあっていると、



『何であんなブスが陽様としゃべってるのよ』



『最悪、あいつなんか陽様とつり合ってないし』



教室中の女子達から陰口をささやかれた。