「それで、そんな大切に思ってる陽斗のことで伊沢に頼みがあるんだけど」

「頼み?」


風見君はペットボトルをカバンに入れながら頷いた。


「アイツさ、超がつく程のバスケ馬鹿なんだわ」

「バスケ……馬鹿?」

「そ。
三度の飯よりバスケ!みたいな感じ」

「それは……かなりの重症だね」

「だろ?
そこで、伊沢に頼みがあるわけよ」


頼み……。

何だろ?


「アイツ、試合前になると無理しすぎるんだよ。
まぁ、負けたくないって気持ちも分かるんだけど……その前に体壊したら元も子もねぇだろ?」

「そうだね。
せっかく頑張ってきたのにもったいないもんね」

「今、そういう状態なんだよ。
朝はギリギリまでやって、放課後もずっと残って練習してる」

「それ……大丈夫なの?」


確かに、最近疲れた顔してるなって思ってたけど……。

メールとかでは普通だったし……。


「ダメだな。
バスケが好きすぎてセーブできねぇんだよなー……それが陽斗の悪いところ」

「セーブかぁ……」

「去年はさすがに自分でもヤバいと思ったのか、自制してたんだけど。
今年はなぁ……」

「今年は?」