「七海のこと、本当に好きなんだな」


俺がそう言うと、松山は一瞬驚いた顔をして……すぐに嬉しそうに笑った。


「……当たり前だよ。
だって、七海だもん」


友達だから、とかじゃなくて……七海だから。


他の友達とは違う……特別な存在。


松山の笑顔はそんなことを語っていた。


「香織?
何でここにいるの?」

「あ、七海!」


登校してきた七海が不思議そうに松山のことを見た。

そんな七海に笑顔で近寄る松山。


「ちょっとお話ししてたの。
ね?」


同意を求められたから、とりあえず頷いておいた。


「じゃあ、七海も来たことだし……帰るね!」

「え?
香織、もうちょっといれば?」

「ううん、もう戻る。
また気が向いたら来るね!」


七海に笑顔を向けていた松山がふとこっちを見た。


「じゃあね、ハルちゃん!」


手を大きく振って松山は教室を出ていった。