陽斗side

「それで、飯食って帰ってきたってわけ?」

「何かメッチャ疲れた……」


俺が机に突っ伏すと侑哉がポン、ポンと軽く俺の背中を叩いた。

いや、お父さんはすごくいい人なんだけどね。

あの状況は……キツかった。


「ちょっと待てよ……てことは今ハルは……彼女持ち……?」

「あーあ。
イツ、抜かれてんじゃん」

「お、俺だって香織ちゃんを振り向かせることぐらい……!


「「……………………」」

「何!?その目は!」


俺達がこんな風に騒いでると、教室の扉が開いて誰かが入ってきた。


「あ……噂をすれば松山だ」

「え、ホント!?」


即座に反応するイツ。

松山はキョロキョロ教室内を見回すと、最後に俺達の方を見て歩み寄ってきた。


え……まさか?


俺と侑哉は驚きながらイツの方を見た。


どんどん近づいてくる松山。

ドキドキするイツ……。


松山は俺達の前までくると、俺の机に手をついた。


「聞いたよ!王子!」


王子……?

誰……?

イツのこと?


「ちょっと、聞いてるの?
……浦山君!」


え…………


「俺……?」