「おはよう、七海」

「お父さん。おはよう」


家に入ると、お父さんが起きていた。

お父さんに新聞を渡し、お父さんの前に出来立ての朝食を並べる。


「海里、学校どうだって?
何か言ってたか?」


パンを頬張りながらお父さんが聞いてきた。

お父さんは帰ってくるのがいつも遅いから海里と直接話す時間があまり無い。

だから、小学校に上がったばかりの海里のことをいつも心配している。


「楽しいって言ってたよ。
友達もいっぱいできたって」

「そうか。
……あ、勉強は?
勉強はどうだって?」

「大丈夫。
ちゃんと真面目にやってます」


よかった、と胸を撫で下ろすお父さん。

心配性なんだから。


「今度お父さんに一緒にキャッチボールやってもらう!って張り切ってたよ」

「キャッチボールか~。
よし!
俺が一流の野球選手にしてやるからな!」


……親バカ。


でも、あたしはそんなお父さんが大好きです。


見ての通り、ウチは父子家庭。

お母さんは海里を生んですぐに死んだ。


だから仕事が忙しいお父さんに代わって、あたしが海里の面倒を見てきた。