風見君が帰ったあと、あたしは一人で名刺とにらめっこ。
「七海、お昼は?」
「あ……先に行ってていいよ」
「……うん。
分かった」
唯は何かを察したのか、頑張れって小さく囁いてオフィスを出ていった。
誰もいなくなった、静かなオフィス。
あたしの目の前にはハル君の名刺。
そして……あたしの手にはケータイ。
……今は仕事中だよね。
あ……でも、昼休みかも……。
メール?
……でもな………。
一生懸命頭を捻るあたし……。
……高校時代に戻ったみたい。
だけど……今はあの頃みたいな幸せに満ち溢れたピュアなシーンじゃなくて……
……これからのあたし達を決める、大事な場面。

