現実から目をそらすように、俺は先輩達のところへ行こうとした。
あの時……俺が動こうとした時に、七海が何かを言いかけてたことに……気づいてた。
それなのに……わざと気づかないフリをしたりして。
……最低だ、俺。
俺の小さなつまらない嫉妬のせいで……。
「はぁ………」
「はーると」
後ろからポン、と肩を叩かれた。
「ため息つくと幸せ逃げるぞ」
振り返ると、立っていたのは同期。
……ちなみに同じ高校で同じバスケ部だった。
夏野猛―ナツノ タケル―
「……もうとっくに逃げてるし」
「あらら。
確かに辛気臭い顔してるもんなー。
そりゃ、幸せも逃げたくなるわ」
……悪かったな、幸せも逃げ出したくなるような暗い顔で。

