「ただ、もしお前が本当に好きな人が現れたら……我慢はしなくていいと思う」


今までビールに注いでいた視線を侑哉に向けた。


「前、待ってるって約束したって聞いたけど……。
本当に伊沢より好きな人が現れたら……もし伊沢が戻ってきたとしても、どうせ別れるだけだろ」

「それは……」


……分からないから、何も言えない。


「俺はお前に伊沢のことを忘れろって言ってるわけじゃない。
……自分の気持ちには素直でいてほしい。
今、伊沢が好きならそれでいい。
……でも、いずれそういうことが起こったら……ちゃんと考えなきゃいけなくなるぞ」

「………あぁ」


……侑哉の言う通りかもしれない。


この先……何が起きるかなんて分からない。

絶対……なんて、あり得ないんだ。


「ま……まあ、とりあえず飲もう!
せっかく集まったんだからさ!」

「……そうだな」


俺はグラスに残っていたビールをグイッと一気に飲み干した。