「そしたら、あたしの行きたい場所はハル君のいる場所になるね」
「じゃあ、俺の行きたい場所は七海のいるところだな。
……あ、でもそうとは限らないか」
「え?」
あたしが聞き返すと、ハル君は自分の指をあたしの指に絡めた。
「俺のいるところには七海もいるかもしれない」
「ハル君のいるところに……あたしも?」
「そ。俺の隣に七海がずっといるかもしれない」
それって………
ドキドキしながらハル君を見ると、ハル君はあたしから目をそらして桜の方を見た。
ちょっぴりハル君の頬が赤かった。
「……そしたら、あたし達はずっと二人きりってわけじゃないかもね」
「どういうこと?」
「宝物が増えるってこと」
意味が分かったらしいハル君はあたしの方を見て小さく笑った。
「俺……五年後とかどうなってんだろ」
「社会人でしょ?
働いてるよ、バリバリ」
「何か想像できない……。
五年前は生意気な中学生だったのに。
五年後はもう社会人か……」
五年前は中学生……。
中一からここまであっという間だったな……。
「……来年もまた来ような」
「来年もまたこういう話してるのかな……?」
「もっと現実味のある話してるかもな。
まぁ……でも」
ハル君はゆっくりとベンチから立ち上がった。
「俺は今が幸せならそれでいい」
優しくあたしを見つめながらそう言ったハル君……。
あたしも立ち上がってハル君の隣に立った。
「……あたしも」

