七海の家に向かう途中に公園がある。

前……俺が七海にバスケ部について本音を告げた公園。


「あの木、何だか知ってる?」


七海が指さしたのはここからでも見える大きな木。


「何?」

「桜だよ。
今は寂しいけど、春になったら綺麗な花が咲くんだよ」


へぇ……桜か。


あの茶色一色の木がピンクの綺麗な花を咲かしているところを想像する……。


「……春になったら、二人で来ような」

「……うん!」


あの桜の木から何となく上へと視線を移した。


頭上には、今まで俺が気づかなかった光景が広がっていた……。


「七海、上」

「上?
………わぁ!綺麗……」


キラキラと光る星……。


普段は気づかない、頭上での出来事。


「俺、こうやって星眺めたこと……あんまりないかも」

「あたしも。
……ホワイトクリスマスもいいけど、雪が降ったら星は見れないもんね。
こっちもいいよね」


俺は星から俺より小さな七海へと視線を移す。

それと同時に七海も俺の方を見た。


「メリークリスマス……七海」

「……メリークリスマス」


二人で手を繋ぎながら……白い息を吐く。


どちらからともなく合わせた唇からは……お互いの温もりを感じた。


俺達の頭上では、星がいつまでも……いつまでも輝いていた。