「……クリスマス、一緒に過ごせないね」

「……しょうがないよな。
でも、メールとか電話するから」

「……うん」


ギュッと七海の手を握る力が強くなった。


「……寒いね」

「……寒いな」

「……ねぇ、ハル君」

「ん?」

「……好き」

「……俺も好きだよ」


七海と顔を見合わせて笑った。


「ね、知ってる?」

「何を?」

「サンタさんが何を運んでくるのか」

「プレゼントじゃないの?」

「ただのプレゼントじゃないんだよ」


俺が首を傾げると、七海はクスッと小さく笑った。


「あたし達が今どれだけ幸せな状況にいるか教えてくれるの」

「幸せな状況……?」

「思い出して。
プレゼントを貰ったときすごく嬉しかったでしょ?
笑顔で喜ぶあたし達を微笑ましそうに見つめる親。
そんな家族を優しく包み込んでくれるような温かいお家。
こんな幸せを感じる瞬間ないでしょ?」


なるほどな……。

確かにそうかも……。


「あたし達もまだ子供だから、サンタさん来るかな?」

「……来なくても、今は十分幸せだって分かってるけどな」

「も、もうっ……ハル君!」


顔を赤くして俺から目をそらす七海。

そんな七海を見て笑う俺。


……本当に幸せだなって感じた瞬間だった。