耳元で聞こえるハル君の声に……胸がドキドキした。


「あのね……あたし、不安だったの」

「……うん」

「他の女の子のところに行ったらどうしよう……とか、あたしは釣り合ってないのかな……って」


ギュッ……とハル君の抱き締める力が強くなった。


「……ごめん。
俺、何にも考えてなかった……」


あたしはハル君の腕の中で小さく首を横に振った。


「ハル君に告白してくる女の子はみんな本気だから……。
それを無視するのはいけないと思う」

「七海………」

「ハル君は間違ってないよ。
ハル君は何も悪くない。
でも………」


あたしは顔を上げてハル君の綺麗な顔を見た。


「……ちゃんと戻ってきてね」


……ハル君は目を細めて優しく微笑むと、
少し掠れた声で言った。


「……当たり前」


そのままハル君の顔が近づいてきて……唇が重なった。

一回離れて少し見つめ合うと……またすぐに重なる唇。


放課後……誰もいない廊下。

人知れずあたし達はキスに溺れた――