週に一回だけバスケ部は休みがある。
その時だけあたし達は一緒に帰るんだ。
「七海、今日は浦山とだっけ」
「うん」
「じゃあ香織と二人で帰るか」
「あ……ごめんね、萌りん」
「何で謝るの。
いいことじゃない、仲良しで」
「……うん!」
……そうだ。
心配したって仕方ない。
ハル君はちゃんとこっちを向いてくれてるんだから……。
帰りの支度をしながら、ちょっと元気が出てきた。
「……伊沢!」
急に誰かに名前を呼ばれた。
キョロキョロ辺りを見回すと、教室の入り口の近くで一人の男子が手招きをしていた。
あれは………
「白石君?」
去年同じクラスだった白石君だ。
うわぁ、久しぶりだ。
「どうしたの?」
「あの……ちょっといい?」
「え?」
「ちょっとだけ時間、いい?」
「あ……でも……」
振り返って見ると、ハル君はイッ君に絡まれていた。
……大丈夫かな。
「うん、ちょっとだけなら」
あたしは何も考えずに白石君と一緒に教室を出た。
そんなあたしの後ろ姿を……ハル君が見ていたとは知らずに――

