あたしだけの"特等席"



「…たのか?」


「あ?」

「今までそんなこと思ってたのか…?」

由紀ちゃんの低い声。


これは危険信号。
怒ってる証拠。しかもとびきり。


「お?怒んの?ここで問題おこしたらお前ら試合出られんくなるぞ?
まあ、喧嘩なら俺は負けねーけど?
ま、もう帰るわ」



手をヒラヒラ降りながら
背を向けてあるきだす涼ちゃんに



私は思わず


「待って…待ってよ…涼ちゃん…!」


そういって追いかけようとした。