見事に風邪をこじらせた私は、次の日も寝込んでいた。


ピンポーン

お昼ごろ、家のインターフォンがなった。
誰だろう・・・?
宅配便さんだったら、居留守を使おう。

そう決めてベッドから出た。
モニター越しに見えたのは、優しそうな女性と可愛らしい女の子。


「紗枝ちゃんと、由紀子さん。」
慌てて上着を羽織、玄関の扉を開けた。
「こんにちは。風邪、大丈夫?これ、いっぱい持ってきたから。ご飯食べた?あら、そんな薄着で駄目じゃない。もう暖房つけてるの?エコしなきゃ。さぁさ、寝ていて?今おかゆ作ってあげるから。」
由紀子さんのマシンガントークに圧倒されるまま、いつの間にかベッドの中。

「あのね、紗枝はおうたをうたってあげる~!」
「あいうえおえかきたのしいな~かきくけこいしたおんなのこ~さしすせそうだよこくはくだ~たちつてとにかくおすのみで~なにぬねのんびりしてられない~」

なんて、歌・・・。
これが小学生の歌う歌なのかな?

「紗枝ちゃん?巴ちゃんが眠れないでしょ?静かにしてあげて。」
「え~!」
「帰らせるわよ?」「紗枝、いいこにしてるも~ん。」