好きなやつ、そいつなの?
暫く、その場で固まっていた。
時折、恥ずかしそうに耳たぶを触れるあいつの癖に、イラっとする
「じゃあ、俺は帰るよ。」
「はい。ありがとうございました。」
「近く通っただけだよ。お大事にね?明日は学校行けそう?」
「たぶん。」
「駄目だったら今度は連絡して?」
「海斗さんに移したら大変ですよ。」
二人の、まるで恋人同士のような会話に、
巴に触れる男の指に、
無性に腹が立って、俺は仏頂面で家に入った。
「お兄ちゃん、ご飯だってよ?」
まだ小学生の妹が、呼びにきた。
いつもなら笑顔で返事ができるのに。



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