次の日。


朝から嫌な雨だった。


朝は珍しく明日香ちゃんの姿を見ていない。


「ねえ、大樹くん」


女子たちが周りを囲む。



「今日はあのブス追っかけてこないの?」



「お前らより全然良いだろ」



あっさり切り捨てると、どこかへ行ってしまった。



「ひでーな、お前」


苦笑気味な信博が近づいてくる。



相変わらず女が近づいた時の女の香水の匂いがプンプンする。


「るせーよ」


机に伏せようとした時。


『待って…っ』


明日香ちゃんの、いつも俺を追いかける時の声が、教室に聞こえたような気がした。