「ここ座ってて」 そのままぐい、と明日香を座らせる。 「わかった。」 明日香ちゃんの左手を握っていた俺の右手を 彼女の両手が包み込む。 彼女の指は滑らかで、細くて、 明日香ちゃんはどこまで華奢なんだろう。 どこも壊れやすくて脆い感覚が伝わる。 いつの間にか、目を閉じていると眠りについた。 右手を強く握る力だけが、よくわかった。 耳元で何か聞こえた気がした。