教室に戻ると二時間目の最初あたりで、
運良く古典の優しい先生だったため、
少しきつめに「おはよう」と言われるだけですんだ。
久しぶりに真面目にノートをとっていると、
案外あっという間に授業は終わった。
「お前、珍しく授業受けたじゃん」
そこには赤茶色にそまったさらさらな髪をそのまま下ろしているだけの
奈田信博がいた。
そのまま下ろしているからこそ整った顔立ちは更に引き立ち、女の子に対しては全員お姫様扱いで、
1年の頃には入学式だけで20人もの人に告白され、中々帰れなかった、
帰ってもメールの着信が終わることがなかったという伝説持ちである。
「どうせ今日もおっかけっこしてたんだろ?」
彰人が後ろから声をかける。
「あー、あの可愛い生徒会長?」
信博も知ってんのかよ
「二人してニヤニヤすんな、気持ちわりーな」
逃げるように机にうつ伏せになった。
