「な、何するの…」

静かな生徒会室に声が響く。

カチ、カチと古い時計の秒針が進む音だけがする。


さらにぎゅっとすると彼女が本当に華奢なことをわからせた。


ふわりと漂う、明日香ちゃんの髪の匂い。

「今日は何の香り?」

「んと…柑橘系だったはず…」

ごもごもしながらも答えてくれた。


「離して…?」

彼女は、ゆっくり言う。

「いやだ」

「お弁当食べれないよ」

「両手塞がってるわけじゃないんだから食べればいいじゃん?」


残りはあと、おにぎりだけだったらしく、食べ終わるときちんと

「ごちそうさまでした」

と言った。


「ねえ…」

俺は口を開く。

「俺、明日香ちゃんの」


そこでガチャリと扉が開いた。

同時に

「失礼しまーす」

という声が響く。