剛は緑色のママチャリを颯爽と漕ぐ。
多少離れていても分かるほど派手な自転車だ。
しかし剛はこの自転車を気に入っていなかった。
中学二年の頃、ママチャリブーム到来で失敗した一つだ。
友達が一人、また一人とママチャリへと乗り換え、もう残された人間は真面目な学校規定の自転車を乗った優等生か剛かという所まで粘ったがさすがに耐え切れず父親に頼み込んだ。
やっとの思いで自転車屋に行くとブームで売り切れ。
そこで出会ったのが今の緑ママチャリ。
そうとう悩んだがいつになるか分からないママチャリを待つほど辛抱強くなかった剛は妥協して買ってしまったのだ。
剛はチョクチョクこういう失敗をする自分が嫌でもあった。

