『はじめまして。村上加奈です。』
『あぁ。湯船剛です。よろしく。』
剛がペコッと頭を下げる。
さすがに男子からの視線が痛い。
『剛、緊張してるの~。』
どこかからガヤが飛ぶ。
めんどくせ~。
まあ自分がそっち側なら同じことしてるか…
それでもガヤが気にならないほどこの席に価値があるのは間違いなかった。
『湯船君。』
『!?』
加奈が呼ぶ。
まるで朝の夢のように背筋に寒気が走る。
『な…何?』
『ごめん…エンピツ貸してくれない?』
ペロッと舌を出して笑う。
その表情は魔性のように妖しく妖艶だった。

