「このように凸レンズに光を通すと、光が曲がってみえる…」

(君、かわいい)
何度考えてもダメだ。
巧輝先輩の表情に声が頭の中を駆け巡る。

今は4時間目。いつもなら腹時計が鳴りだすじかんなのに今日はならない。

ヤバイ。集中できてない。先輩、先輩、先輩、先輩~。先輩は今、どんな気持ちでいるの?

「~い、か、わ、い、」

ん、かわい?
あっ、先輩はもしかして私の名字を言っただけなの?聞いただけなの?
いや、でも、自分の名字じゃなくて相手の名字を言う人なんて居るのか?

しかも、耳元で!!!

「わい、河合ちゃん!!」

私を呼んだのは、今月の席替えで初めて隣になった
名前は確か、中嶋徹也くんだった気がする。

彼は私をじっと見つめて…

目線を逸らさずに笑って
「実験、しよ」
と言った。