「お見舞いは有り難いけどあまり自分責めちゃダメだよ?それに吉野さんは何も悪くないんだから。」
武藤にそう言われると沙耶は少し俯いた。
武藤はあの本の事を知らないからそう言うが沙耶としてはめちゃくちゃに攻められた方がどんなに楽なのだろうかと思った。
するといつまでも俯いている沙耶を心配し大丈夫?と言われ急いで顔を上げた。
「大丈夫です……本当にただお見舞い行くだけなんで…」
そう言うと一礼し部屋を出ていった。武藤は沙耶の下手な愛想笑いが妙に引っかかった。
外科に着くとあの男性のいる部屋にやって来た。集中治療室から個室へと移されたが未だに目を覚まさないらしい。
沙耶は男性の横にある椅子に座り手を握った。そして静かに目を瞑る。
「ん…」
男性が静に目を開いた。
「………だ…れだ…?」
男性は自分の手が誰かに握られている事に気づきその人物を目で探った。
「よかった……ごめんなさい…」
沙耶はそう言うと席を立ち病室から出ていった。男性は何の事だか判らず顔をしかめた。
沙耶が病室から出るとそこには武藤が立っていた。


