「あのっ武藤先生。」
「はい。」
「あの男性は私がどうにかしますから。」
武藤の顔が一瞬曇った。
「吉野さんそんなに気にしちゃだめですよ。」
また笑顔に戻った武藤に失礼しますと言うと沙耶はいそいそと帰っていった。
沙耶は家に着くと急いで机の上にある本をチェックした。本にはしっかりとあの事故の事が書いてあった。
「……多分あの時急に足が重くなったのは私にあの男性を助けさせないためだ…この本が"望み"を忠実に実行するためにそうしたんだ……」
唇を血が滲み出そうなほど噛みしめ、強く握り拳を握った。
「…どうにかするから…」
そう言うと沙耶は次の新しい白いページを開きそのままベッドへ行き眠りについた。
夢から覚めた次の日、沙耶は再びあの病院へとやって来た。一応あの武藤先生にも挨拶しとかなければいけないと思いまず精神科に顔を出した。
沙耶を見た途端武藤はどうしたのかと心配そうに訊いてきたが今日はあの男性のお見舞いですというと安心したようだった。


