ジリリリリリリリリン
「うーん……」
部屋中に騒がしい目覚まし時計のベルの音が響く。沙耶はのそのそと時計に手を伸ばしベルを止めると時計と向き合った。
「…………」
目をこしこしこすり、時計を凝視する。
「やばっっ寝過ごした!?」
沙耶はベッドから飛び起きると大急ぎで出勤の準備をした。
沙耶は、とある大手電気メーカーの本社に勤めている、入社5年目の社員である。入社5年目にしてその人柄の良さと実力をかわれており周りからも一目置かれている。最近ちょっとした出世の話も出てきているのだ。
そのため遅刻なんてしている場合ではないのである。
幸い、後10分で支度を済ませて急いで電車に飛び乗ればギリギリ間に合うかもしれない。逆算した沙耶は普段の6倍の速さで支度を済ませていった。
「えっと、持った…持った…持った……よし!」
持ち物を確認すると猛ダッシュで駅へと走った。
〔1番ホーム扉が閉まります〕
プシュー
「はぁ、はぁ、ま、間に、合っ、たぁぁ〜」


