お兄ちゃんに彼女ができた。

 * * * 

 昨日の放課後のことだ。
「なあ、明日空いてる?」
「明日?」
 学校から駅までのやや長い道のりを二人で歩いていると、里志くんが私に尋ねてきた。
 私も里志くんも部活動に所属しているので、学校を出るのはいつも七時くらいだ。辺りは既に真っ暗で、十月の風が少し肌寒い。
 ちなみに私は吹奏楽部、里志くんはバスケ部に所属している。
「土曜日……は、えっと、午前練があるよ。午後は大丈夫」
「終わるの何時くらい?」
「十二時半ミーティングだったと思う」
 そっか、と里志くんが短く答える。理由を訊くと、里志くんは少し悩んでから、
「いや、明日俺は部活オフなんだけどさ。……たこ焼き、食べにくる?」
「え、いいの!?」
 思わず声が裏返ってしまい、はっと口を押さえた。里志くんは、そんな私を見て優しく笑う。けれどすぐ表情を暗くして、でも……と口ごもった。
「妹がさ……」
 面倒くさそうに言う里志くんの顔を覗き込んで、私は前から気になっていたことを訊く。