夕ご飯を食べ終わり、俺が自室のベッドでのんびりと漫画をめくっていると、部屋の戸が鳴った。
「お兄ちゃーん! お風呂一緒に入ろー!」
 俺が返事をする前に、ノックの主は勝手に俺の部屋に入ってきて、明るくそう言った。
「……入らない! ていうか、俺が返事する前に入ってくんなよ! ノックの意味ねーだろ!」
 ったく、やれやれ。美里がありさと会ってからというもの、美里の俺に対するアタックは以前と比べ物にならないくらい強くなった。大胆さが増したというか。
「今ちょっと考えた? ねえ、今ちょっと考えたでしょ」
「考えてない! もう、あっち行けよ!」
 そして相変わらず、図々しくてどあつかましい。