「ふう……」
 私のため息と里志くんのため息が見事に被ったので、私は一人で吹き出してしまった。でも、里志くんは疲れ切った表情のままだった。
「ごめんな、ありさ。ほんとにごめん……」
「いいっていいって、なんか面白いし」
 全然慰めにはなってないかもしれないけど、これもまた事実だった。美里ちゃんの言動は余りにも極端過ぎて、迷惑を通り越して見ていて面白い。
「ごめんな。ちゃんと怒ってるんだけどさ」
「だからいいって! ほら、学校行こ?」
 私は里志くんの手を握り、半ば強引に引っ張った。朝から暗い雰囲気で登校なんて嫌だし、もしそうなったらなんだか美里ちゃんに負けたみたいで悔しいから。