ぽんと肩を叩かれ、私はイヤホンを外しながら振り返る。
 いつも通りなら、里志くんがそこに立っていて、おはようと挨拶を交わしてから手を繋ぎ、二人で学校に向かって歩き出すんだけど……。
「あれ、美里ちゃん……?」
 今日は、里志くんの隣にさも当たり前の様に美里ちゃんがいた。里志くんの腕に自分の腕を絡め、肩に頭を預ける様にして寄り添っている。というよりは、寄りかかっている。
 美里ちゃんは私を無視して、ツーンと横を向いた。
「おはよう、ありさ……えっと……」
 里志くんが何か言おうとして、そこで初めて美里ちゃんが口を開いた。