お兄ちゃんに彼女ができた。

 しばらくすると、おぼんの様な形をしたお皿に乗せられた、二人前分である40個のたこ焼きが運ばれてきた。おばあちゃんは「おまちどうさま」と笑顔で言いながらたこ焼きを置くと、忙しそうに店の奥に戻っていった。
 出来たてで、白い湯気が立っている。とてもいい匂いがした。
「さ、召し上がれ」
「うん! いただきまーす」
 手を合わせて食前の挨拶をし、お箸を付けようとした、まさにそのときだった。