時計を見ると、四時前を指していた。部活開始時間から三十分近く経っている。先輩に連絡はしてあるけど、そろそろ行かないとまずいかな。
「……今日は、部活しんどいな」
里志くんが、ぼそっと言った。
「珍しいね。バスケ大好きなんじゃなかったの?」
「大好きだよ。でも今日は、もう疲れた」
ふいっと、里志くんがそっぽを向いた。子どもっぽくて可愛いなと思った。
「確かにしんどいね、今日は」
私も同意して、しばらくだらだらとした時間を過ごす。二人とも黙ったまま、時計の秒針の音だけがやけに大きく聞こえる教室の中で。
二、三分経った頃だろうか、里志くんが急に口を開いた。
「松本ってさあ」
「何?」
少し間を置いてから私の方に顔を向け、遠慮がちに続きを口にする。
「好きなひといんの?」
私はえ、と小さく声を上げた。
「どうしたの、急に」
「なんでもない」
里志くんは素っ気なくそう言うと、またそっぽを向いてしまった。
「……いるよ」
私は短く、そう答えた。
「……今日は、部活しんどいな」
里志くんが、ぼそっと言った。
「珍しいね。バスケ大好きなんじゃなかったの?」
「大好きだよ。でも今日は、もう疲れた」
ふいっと、里志くんがそっぽを向いた。子どもっぽくて可愛いなと思った。
「確かにしんどいね、今日は」
私も同意して、しばらくだらだらとした時間を過ごす。二人とも黙ったまま、時計の秒針の音だけがやけに大きく聞こえる教室の中で。
二、三分経った頃だろうか、里志くんが急に口を開いた。
「松本ってさあ」
「何?」
少し間を置いてから私の方に顔を向け、遠慮がちに続きを口にする。
「好きなひといんの?」
私はえ、と小さく声を上げた。
「どうしたの、急に」
「なんでもない」
里志くんは素っ気なくそう言うと、またそっぽを向いてしまった。
「……いるよ」
私は短く、そう答えた。



